愛知県美術館リニューアル・オープン記念 全館コレクション企画 「アイチアートクロニクル1919-2019」を取材レポート

愛知県美術館リニューアル・オープン記念 全館コレクション企画 「アイチアートクロニクル1919-2019」を取材レポート

2019-05-11
インスタレーション

今回取材したのは愛知県美術館で行われているリニューアル・オープン記念全館コレクション企画「アイチアートクロニクル1919-2019」
この展覧会では、愛知の美術の100年間で何が起こり、何が発展し、どう変わっていったかを愛知県美術館、名古屋市美術館、豊田市美術館をはじめとする地域のコレクションを通じて紹介していきます。そんな展覧会「アイチアートクロニクル1919-2019」を紹介します。

明治から始まる愛知の美術

この展覧会の構成は年代ごとに章分けし展示されていて、

    • 第1章 博覧会・博物館ー愛知洋画の始まり:1871年〜1918年
    • 第2章 愛美社とサンサシオン:1919〜1920年代
    • 第3章 シュルレアリスムの名古屋:1930〜1940年代
    • 第4章 非常時・愛知:1940〜1950年代
    • 第5章 日本画と前衛:1950〜1960年代
    • 第6章 桜画廊とその周辺:1960~1970年代
    • 第7章 美術家たちの集団行動:1960〜1970年代
    • 第8章 現代美術の名古屋:1980〜1990年代
    • 第9章 アーティスト・ラン・スペースとトリエンナーレ2000〜2010年代

という9章にわたる構成になっていました。

この9章それぞれその時代に愛知で巻き起ったさまざまな出来事に着目し、作品を紹介していきます。

展覧会へ入場してすぐの第1章では、1880年に行われた名古屋博覧会などの紹介のほか、黒田清輝などの作品が出迎えてくれました。

黒田清輝「花と猫」1906年 油彩、キャンバス

戦争が起こった第4章の「非常時・愛知」では、戦争に関連した絵画が多く見られ、戦争に対する美術の立ち位置を伺うことができます。また、戦争時に失われた美術作品と生き残った作品の評価の関係性なども知ることができました。

鬼頭鍋三郎「機銃分隊習作」1942年 油彩、キャンバス

第8・9章では、現代で活躍する注目の作家の作品が多く展示されていました。
絵画に限らずインスタレーションや、映像などさまざまなジャンルに発展していき愛知の美術が多様性に溢れて行ったのがみてとれます。

(左)森北伸「a colony」2004年 油彩・グラファイト、キャンバス (右)栗木義夫「glove stand」2008年 鉄・陶器/油彩、キャンバス 作家蔵

美術が好きでなくても楽しめる作品の数々

展示されている作品は絵画、映像、彫刻、インスタレーションなどさまざまなジャンルに富んでいて、どんな方でも楽しめるような構成になっています。例えばこの展示。

大﨑のぶゆき 「Portraits」2014年 映像、液晶モニター 作家蔵

写真のポートレートが溶け出している映像作品です。この作品が表していることは、「人間はある一つの地点で止まることなく、感情や、身体状況が連続的に動いていくこと」だそうです。フィルムにうつされた塗料が水中に溶けていく様はとても美しく、幻想的でした。

また、こちらの展示も大変興味深いものでした。列車は動いているのですが、台自体も動いているため列車が止まっているように見えるという作品です。視点を変えた発想にすごくときめきました。この展示は動いている時と、止まっている時があるので作品をじっくり眺めることもできますよ。

そのほかにも、ピカソや現在東京都美術館で展覧会が行われているクリムトなどの作品もあり、代表的な西洋美術の作品も見ることができます。

まとめ

愛知でこの100年の間に巻き起こった美術の変遷(へんせん)を垣間見ることができました。美術史や愛知の美術に興味がある方はぜひ行くべきです。また、古典美術から現代美術までさまざまなジャンルを扱っているので、観ていく中でひとつは心ときめくものが見つかると思います。会期は6月23日までなので是非行ってみてください。きっと楽しめる展示になっています。

展覧会情報

アイチアートクロニクル1919-2019
愛知県美術館リニューアル・オープン記念 全館コレクション企画

[会期]
2019年4月2日(火)〜6月23日(日)

[会場]
愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)

[開館時間]
10:00〜18:00
金曜日は20:00まで(入館は閉館の30分前まで)

[休館日]
毎週月曜日

[観覧料]
一般 500(400)円
高校・大学生 300(240)円
中学生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金

[主催] 愛知県美術館

[特別協力] 名古屋市美術館

出品作家:青田真也、秋吉風人、浅井忠、あさいますお、浅野弥衛、味岡伸太郎、有馬かおる、安藤邦衛、安藤正子、安藤幹衛、猪飼重明、イケムラレイコ、市野長之介、伊藤髙義、伊藤利彦、伊藤敏博、伊藤廉、稲葉桂、今井瑾郎、今村文、岩田信市、魚津良吉、臼井薫、大﨑のぶゆき、大澤海蔵、大澤鉦一郎、太田三郎、大塚泰子、岡田徹、荻須高徳、小栗沙弥子、尾沢辰夫、加藤昭男、加藤菁山、加藤静児、加藤延三、加藤マンヤ、川口弘太郎、河本五郎、岸田劉生、岸本清子、北川民次、北脇昇、鬼頭甕二郎、鬼頭健吾、鬼頭鍋三郎、木村充伯、久野真、久野利博、熊谷守一、倉地比沙支、栗本百合子、栗木義夫、黒田清輝、鯉江良二、河野次郎、河野通勢、小杉滋樹、後藤敬一郎、小林耕平、小林孝亘、斉と公平太、坂井範一、坂本夏子、佐藤克久、佐分眞、沢居曜子、設楽知昭、島田卓二、下郷羊雄、庄司達、白木正一、杉戸洋、杉本健吉、鈴木不知、清野祥一、関智生、ゼロ次元、染谷亜里可、竹田大助、田島二男、田島秀彦、辰野登恵子、東郷青児、東松照明、徳冨満、戸谷成雄、登山博文、中條直人、中野安次郎、奈良美智、西村千太郎、額田宣彦、野崎華年、野水信、長谷川繁、原裕治、櫃田伸也、平川祐樹、古池大介、ぷろだくしょん我S、堀尾実、眞島建三、松下春雄、三岸好太郎、三岸節子、水谷勇夫、宮脇晴、村瀬恭子、村松乙彦、森北伸、森眞吾、八島正明、矢橋六郎、山口勝弘、山下拓也、山田彊一、山田純嗣、山田睦三郎、山本悍右、山本高之、山本富章、横井礼市、吉川家永、吉川三伸、吉本作次、渡辺英司ほか