今回取材したのはgalleryHAMさんで行われた井手日出志さんの展覧会「景色」
糸で描かれた作品や、「塗る」ではなく「置く」ようにして描かれた作品は通常の油絵とは少し違う独特の雰囲気を持っていました。それではご紹介いたします。
「置く」絵画
展示の中で特徴的だったのは、油絵の具を使って描かれた作品シリーズです。
みた瞬間、版画作品のように見えますが近づいてみてみると油絵の具による凹凸でこれが油絵なのだと気がつきます。
このような少し変わった井手さんの絵画作品は、描くではなく「置く」という意識のもとで描かれているため独特の雰囲気が漂います。
では井出さんの「置くという意識」とはどのようなものなのか。
その意識の根幹には「日常」やという日々の積み重ねや「繰り返す」というある種の連続性が含まれているように感じました。
ひとつひとつ油絵を置いていく、その時々に同時に重ねられていく時間を作品から意識させられます。
描かれる景色も「日常」の一画面を切り取ったようなものが多く感じられ、やはり意識しているのではないかと感じました。
縫って行く
展示されていたのは絵画作品だけではなく糸を素材として扱った作品もありました。
例えばこちらの作品。
鉄板に糸が縫い付けられています。
描かれているのは川の流れでしょうか、ここでも切り取る景色は「日常」を意識しているように思えます。
また、井手さんが思う「景色」は「見るという意思の総体のようなもの」とステートメントでおっしゃられています。
なるほど、作品にこのようなモチーフ選んでいるのは時間・空間が一体となり進んでいくという感覚があるのかもしれません。
まとめ
芯を作ることなく形成された小さな木や、川の流れを糸で表すなど時間的・流動的な表現になっているように感じました。置いていくように描かれる絵画も、単に油絵の具という認識ではなく時間を表す素材の一つと捉え制作へ向かっているのでないでしょうか。
前回このギャラリーで行われた展覧会
展覧会情報
「景色」
井手日出志
会期:2019.09.21 ~ 10.26
open:13:00 ~ 18:00
場所:galleryHAM
名古屋市千種区内山2-8-22