天使の分け前。展覧会「Angel’s Share」

天使の分け前。展覧会「Angel’s Share」

2019-03-12
インスタレーション

皆さんは天使の分け前、「Angel’s Share」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

天使の分け前(Angel’s Share)とは
ワインやブランデー、ウィスキーなど、その製造工程で熟成を要する酒類において、
「熟成中に水分・アルコール分が蒸発し、最終的な製造量が目減りする」こと。
Wikiより

そんな言葉をモチーフとしたこの展覧会は、アルコールの可能性や面白さが際立つものでした。
それではご紹介していきます。

塗って貼ってペタペタと

最初にご紹介する作品はこちら。

この作品は小林園美さんという方が作られた作品です。
色とりどりの植物の葉がとても綺麗です。

この模様はどんな風につくられたのでしょうか。
例えばこの葉っぱだと、このような「型」をアルコール塗料が乾かないうちにペタペタと跡をつけていきます。


そうすると、このような模様が浮かび上がるのです!
型の逆パターンもあり、組み合わせでさまざまなものができるので表現の幅は広いです。

こちらの作品は、なんと食べられます!

この作品のコンセプトは「食べられる素材で作った食べるためではない作品」
材料は、で実際に食べてみると…

甘くて美味しい!
外は堅くてパリッとしているのですが中はようかんのように柔らかくおいしかったです。
(商品で例えるならカンロ社のパリコレというお菓子のような感じでした。)

雨から生まれた染め模様

この三つの作品も制作過程がすごく興味深い物でした。
まずこちら。
これは染め物の作品です。

この染物。
実は模様が雨で作られているんです。

どういうことかというと、
まず布を屋根のないところに置いておきます。
そして、雨が降り、布に雨が染みこんだところで色をつけていきます。
雨で濡れているので色が綺麗に染みていくんですね。

こちらの作品はネオンに少しストーリーがありました。


この作品のタイトルは「illusion of Spontaneity」
日本語にすると「自発性の錯覚」
このタイトルから考えられる考察としては前述した天使の分け前が錯覚のものであるということを表しているものなのでしょうか。

またこの作品自体にも仕掛けがあります。
実はネオンに書かれたメッセージは欠けているんです。
illu”sion of “
Spon”taneity”
この””で囲った部分がありません。
どういうことなのかというと、アルコールの自発性を表現しているのです。
つまりこのかけたネオンの部分は”蒸発した”ということを表しています。

とても興味深く感じました。

まとめ

神話の中からモチーフを作っていたり、食べ物で作る食べられないものだったり。発想や表現が面白いものばかりでとても楽しかったです。
アルコールに関するお話にもすこしだけ詳しくなれたかもしれませんね。またこれを読んでいるあなたが少しでもこのような美術に興味を持っていただけたのなら幸いです。

展覧会情報

「自発性の錯覚:天使の分け前」

出展
ニューヨーク在住のアーティスト
小林園実
ニューヨーク在住和菓子アーティスト
兵藤美由紀
韓国在住アーティスト
ヨンジ.ハン

gallery
galleryWhitecube

2/28〜3/10(3/4.5.6日お休み)
13:00〜19:00 最終日17時迄