今回取材したのはseesawgallery(名古屋市瑞穂区)で行われた森田浩彰さんの展覧会「End of Light」
森田さんは基本ストーリーや流れを作って展示する方ではないのですが、今回は1961年に制作された「光の技術」という短編映画をテーマとして展示を行っていました。
作品のジャンルとしてはインスタレーション(場所や空間全体を作品として体験させる芸術)を作られています。そんな森田さんの展覧会「End of Light」をご紹介いたします。
短編映画「光の技術」から
今回の展覧会「End of Light」で展示されていた作品のほんとんどが短編映画「光の技術」から着想されているものでした。
例えばこの作品。
「光を、もっと光を!」という文字が蛍光灯のカバーに彫ってあります。
この「光を、もっと光を!」という文言は映画のナレーションから抜粋してありました。
短編映画「光の技術」が作られたのは1961年、高度成長期の真っ只中です。
より発展し多くの利益を得ようとたくさんの人が動いた時代です。
そんな時代の空気感を表しているのがまさにこのことば「光を、もっと光を!」ではないでしょうか。
この他にも映画のワンシーンを模写した作品がたくさんありました。
いずれのシーンも人工の光が画面を覆っています。
人間が自然である暗闇に抗い自分たちの領域にしようとしているようにも見えます。
この「欲望」こそがこの時代のエネルギーであり発展した源であるのも事実ではあるのですが、その影響で生み出してしまった環境汚染などが存在していたのも確かです。
集積した光たち
こちらの作品は蛍光灯、白熱灯、LEDなどさまざまなライトが詰め込まれています。
作品が発する、必要以上の明るさはみるものを拒むようで、進歩しすぎた技術に飲み込まれていく未来、シンギュラリティ(人工知能が発達し、人間の知性を超えることによって、人間の生活に大きな変化が起こること)を示しているようでもあります。
これは、アメリカ人アーティスト、フェリックス・ゴンザレス=トレスの作品がをベースとなっていて、もともとこの作品は両方とも白熱灯だったのですが、森田さんが片方を白熱灯型LEDに変更して制作しました。
近くによってみると白熱灯の暖かさが伝わってきます。
しかし、当然ながらもう片方のLEDは暖かさを感じません。
この温度の「あるもの」から「ないもの」への変化という部分に着目して考えてみます。
白熱灯とLEDの関係性は人間と機械のようでもあります。
人間の持つ情の暖かさと効率的な生産をする機械の生産性が対比しているように感じました。
まとめ
この展覧会では人間の「欲望」のようなものが裏のテーマになっているようにも感じました。
人間が発展し世界を蝕んでいく現在も含めこらからの私たちの営みを改めて考えさせられるような内容になっていたと思います。
「光を、もっと光を!」
人間がより輝くにはどのように進んでいくべきなのでしょうか。
展覧会情報
End of Light
出展:森田浩彰
会期:3/10~4/27
open [水・木] 12:00 – 17:00 / [金・土] 12:00 – 19:00
close [日・月・火]
場所:See Saw gallery + hibit
愛知県名古屋市瑞穂区密柑山町2-29
あいちトリエンナーレパートナーシップ事業