つながりを消して、新しく構築する。小松原 智史展を取材

つながりを消して、新しく構築する。小松原 智史展を取材

2019-05-02
絵画

今回ご紹介するのはガレリアフィナルテ(名古屋市中区)で行われた小松原智史さんの展覧会
壁一面に打ち付けられた彼の作品からは、彼の淡々と制作する姿が思い起こされました。全く余白が見つからないほどに書き込まれたところからも、彼の作品に対する熱狂的かつ毅然とした姿勢が見て取れます。そんな小松原智史さんの展覧会をご紹介致します。

イメージを壊し続ける

展覧会の会場に入り目に飛び込んできたこれらの絵画。
凄まじい熱量と共にある種の冷静さを感じました。

小松原さんが作品を作る絵で気をつけていることは「イメージを完成させない」ということでした。
例えば、書いていくうちに「こことここが連想したように見えるな」と思ったら全くちがう方向の絵を書き込んでいくというような感じです。

絵の完成形に関しても「「完成」としてしまったらそこでこの作品のイメージが定着してしまうので完成はさせません。あくまで「キリがついた状態」で展示してあります」とおっしゃっていました。

また、小松原さんはもう一つ作品を作る上でのルールのようなものを持っています。
それは「常に一定の感情で描く」ということです。

 

これは他の作家さんと大きく異なる点だと思います。
通常絵は、言葉にできない感情や伝えたい思いを表現するために使われるツール的役割を担っていることがあるのですが、彼の中にはその意識が全くなく、むしろ排除しているようでとても興味深く感じました。

このストイックな姿勢は作品の制作ペースにも現れていて、この大きな和紙の1ブロックをなんと1ヶ月で描き切ってしまうというので驚きました。

会期中にも制作は止まらない

小松原さんは個展の会期中でも作品を作り続けていました。やはり作品を「完成させない」という意識が働いているのでしょう。

私が伺った際に作っていた作品はこちら。
木片が重なり打ち付けられ時には額のように、時には迷路のように鑑賞する人々を引きつけます。

組み立てに使われたこれら全ての部品は、組み立ててから絵を書いていくのではなく、全て描いてから組み立てていくそうです。全部描いてから組み立てるのは相当大変ですが、彼の異常なまでのストイックさがあるからこそ為せる技なのかもしれません。

また、この作品の中にう見込まれているこのような絵は電車など移動中に描いていることもあるそうで、「移動中のこの時間もったいないなぁ」と思ったのがきっかけだそうです。

まとめ

一定の感情で描き続けるという彼のとてもストイックな姿勢が作品に現れているように感じました。墨やペンを駆使し作り続けられる作品たちはこれから一体どんな方向へ進んでいくのでしょうか。

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展覧会情報

小松原 智史展/Satoshi KOMATSUBARA exhibition

会期:4/9~4/24
open:12:00~19:00
日月休み

場所:ガレリアフィナルテ
知県名古屋市中区大須4丁目6−24