吐き出された想いは形になる。ハシグチリンタロウ 堀尾貞治 「ALIVE 生き続ける芸術 」

吐き出された想いは形になる。ハシグチリンタロウ 堀尾貞治 「ALIVE 生き続ける芸術 」

2019-08-07
インスタレーション

今回取材したのはgalleryNAOMASAKIさんで行われている展覧会「ハシグチリンタロウ 堀尾貞治 「ALIVE 生き続ける芸術 」
共に面識のないながらも共鳴する作品たちは、作家同士の共通項を感じさせるような展覧会です。言葉という相手に伝えるため自分を表現するための手段がさまざまな試みによってその意味を検証していました。それではご紹介いたします。

言葉の塊が生まれる

暴れまわるような線。

これはハシグチリンタロウさんの作品です。
一見暴力的に見えるこれらの作品には、「言葉」という私たちが日々意思伝達の手段として用いているツールが少し形を変えて書かれているようです。

なぜ「描く」ではなく「書く」なのかそれは作品が生まれる背景にあります。

今回展示を行なっているハシグチリンタロウさんと堀尾貞治さんは共に、日記のような手記を毎日書かれています。その中に書かれているのは作品のアイデアだったり自分自身のこと、生きている中で感じたことなどさまざまです。

このようにして熟成されていく二人のエッセンスが塊となって作品に現れているように見えます。

また、堀尾さんの作品にはより「日々」という要素が色濃く出ています。

例えばこの「当たり前のこと」という作品。
これはシリーズでいくつかの作品で展開されているのですが、その制作方法は特殊で、毎日絵の具のチューブ1本を使い切るまでさまざまなものに色を塗っていき何ヶ月、多ければ何年もかけて制作されたそうです。

日々の累積が作る作品の重みはまた違った味を出していました。

繋がる対比、そして調和

ハシグチリンタロウさんと堀尾貞治さん、あったこともない二人が生み出すこの空間は対比や調和、そういった全体的な作品同士の関係性がより引き立っているように感じました。

ハシグチリンタロウさんの作品は墨で書かれるものが多くモノクロで表現されます。しかし、それに対して堀尾さんはたくさんの色を使い塗り重ね、何層ものレイヤーを作っています。こうした表現の違いによって引き起こる調和は、一人の作家だけではなし得ないものです。

モノクロで書かれるハシグチリンタロウさんの作品は、モノクロだからこそ美しく、シンプルな力強さを作品に感じられます。そして堀尾さんには何重にも塗り重ねられた無数の色が日々揺れ動く繊細な感情が現れているように感じます。

この二つの要素が同じ空間で展示され、絡み合うことによってそれぞれの「力」が見えてくるのでないでしょうか。

まとめ

生きていく中で抱える想いや感情を言葉として吐き出し描くそのストロークから伝播する感情は鑑賞者の心にどんな心象風景を残すのでしょうか。ぜひあなたも行って感じてみてはいかがでしょうか。

(堀尾貞治様のご冥福をここからお祈りしております。)

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展覧会情報

ハシグチリンタロウ 堀尾貞治
Lintalow Hashiguchi Sadaharu Horio
「ALIVE 生き続ける芸術 」

会期:2019年7月27日(土) 〜 8月11日(日) 
opne:12:00〜20:00
(火曜日休廊)

​ハシグチリンタロウ在廊日:7月27日,28日 / 8月3日,4日

場所:Gallery NAOMASAKI
名古屋市東区葵2丁目3−4