漂ういまを照らすスポットライト。大崎のぶゆき展/Nobuyuki OSAKI exhibition

漂ういまを照らすスポットライト。大崎のぶゆき展/Nobuyuki OSAKI exhibition

2019-07-28
写真

今回取材したのはガレリア・フィナルテ(名古屋市中区)で行われている大崎のぶゆきさんの展覧会

相対的スポットライト理論から展開する大崎さんの展覧会は、「過去/現在/未来」という時間概念がもつ複数性を表現した作品や、イメージが消失していく過程を日表現した作品が展示されていました。それではご紹介いたします。

揺れる時間

見た瞬間、抽象画のような印象をもつ大崎さんの作品。
流れ出した絵の具がまるで時空が歪んでいるかのように思わせました。

これらの作品は複数の工程に分けられ制作されています。

まずはじめに、スナップ写真やアルバム写真を元にイメージを描いて行きます。
そしてその描いたものを水槽の中に入れます。
すると、絵の具の部分が溶け出し作品のような景色が現れるので、それをデジタルカメラで撮影しCプリントで出力されたものが作品として公開されています。

そのほかにも、インスタントカメラで撮影されたものもありました。

また、そのような写真作品のほかにインスタレーション作品も一つ展示してあります。
<Observer>というタイトルのこの作品。
日本語に訳すと「観察者」

作品を鑑賞する私たちを観察し何を写すのでしょうか。
不思議なオーラを持つこの作品を覗き込むのは少し怖いですが魅力的でした。

時間の複数性

展示の中で一貫して感じられる言葉は「時間」です。

絵の具が漂うその瞬間を捉えた作品は、もう戻ることのないその一瞬を写真が消えない限り永遠に観察することができます。
これは大崎さんが提示する相対的スポットライト理論という時間論と時間の持つ複数性の関係を暗に示しているのかもしれません。

相対的スポットライト理論とは
過去・現在・未来は同時に存在しており、スポットライトが照らすように現在がその空間を移動していくという理論

それに加えて、もともと絵画として描かれているものが、工程を踏み新たな写真作品になるという定義の複数性が存在していることも示しています。

また、題材となるイメージなどにはランダム性も含まれています。
絵画を描くモチーフとなった元の写真たちはどれも海などでの写真です。

大崎さんは、その写真を選んだ理由は特に意味はないとおっしゃっていましたが、作品のより深い部分では何か繋がっているのかもしれません。

まとめ

時間の概念や物事が持つ複数性を大胆に表現した作品が多く見られる展覧会でした。描かれたものが流れ出ていく記録は過去から現在へ、そして現在から未来へと時間に乗りゆらゆらと漂います。会期は2019年08月03日までです。ぜひご高覧ください。

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展覧会情報

大崎のぶゆき展/Nobuyuki OSAKI exhibition

会期:2019.7.13~8.3
open:12:00~19:00
日曜月曜休み

場所:Galleria Finart
名古屋市中区大須4丁目6−24