空想を形に、現実に。O JUN×HANS BENDA展

空想を形に、現実に。O JUN×HANS BENDA展

2019-06-17
絵画

今回取材したのはガレリアフィナルテ(名古屋市中区)さんで行われているO JUN×HANS BENDA展

様々な風景を思い描き、その中で空想として作り上げられた風景を描いた作品や、額ではなく新しい形の枠組みを持った絵画が印象的でした。それではご紹介いたします。

空想の風景画

HANS BENDA(以下ハンズさん)が作る作品は全てが空想の風景画です。

例えばこのプールの絵画。

これも空想です。

現実には存在しない虚構を描くという行為は何を表しているのでしょうか。私には少なくとも通常の風景を写し取った絵画とは明らかに違う空気感を内包しているように思えました。

「虚構を描く」という行為は日本では多く行われています。それはアニメや一般的に「2次元キャラ」と呼ばれるものが日本からたくさん生み出されていることが背景にあります。これらの創作物とハンズさんが描く作品は何が違うのでしょうか。

それは作品のもつ性格です。

アニメなどの創作物は基本的に商業をベースとして考えられていますが、ハンズさんの作る作品は自分自身の理想郷をイメージし構成されているように思えました。

このような要素に加え、精密に描き込まれ、あたかも現実世界に存在しているように描くことによって認識のズレが生じ独特の空気感を生み出すことに成功しているのかもしれません。

不規則な丸の羅列が枠を作る

こちらの作品はO JUNさんの作品です。

ハンズさんの作品とは打って変わって素朴さが映える作品が多く感じられました。

見ていく中でもっとも印象的だったのはこちらの作品。

赤い丸で囲われた中に何らかの絵画が描かれています。
この赤い丸はどのような意味を持って作品の中に描かれているのでしょうか。

作家のO JUNさんにお聞きすると「この赤い丸は作品の輪郭です。額のように型が決まっているものから離れ、不規則な中で構成されるものに興味をもち制作をはじめました。赤い丸については、ランダムに並べていくことによって不規則的な輪郭を作れるのでは。と思い制作しました。」と教えていただきました。

なるほど、作品の輪郭を再定義することによって新たな作品の広がりを見出しているのかもしれません。

まとめ

空想の中で作られたハンズさんの風景画は、どこかに存在していそうと思えはするもののどこか現実とは違う、何か特別な空気感が絵画の中に流れているようでした。また、O JUNさんの作品の中に見られた「枠組み」という概念への挑戦も面白いものではありました。

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展覧会情報

O JUN×HANS BENDA展/O JUN×HANS BENDA exhibition

会期:2019年6月8日(土)~7月6日(土)
open:12:00~19:00
*日曜日・月曜日は休廊
8(sat.)Jun.~6(sat.)Jul.2019
*Closed on Sunday&Monday.

会場:ガレリア フィナルテ
名古屋市中区大須4丁目6−24