想像のなかで膨らむ空気。「 みえないもの 」ー Other Side ー

想像のなかで膨らむ空気。「 みえないもの 」ー Other Side ー

2019-06-22
インスタレーション

今回取材したのはハートフィールドギャラリー(名古屋市中区)さんで行われた川崎和美さんの展覧会「みえないもの」ー Other Side ー

金属で作られたメタリックな質感のカマキリや、重力や吸着力を使った作品などさまざまなタイプの作品があり楽しめました。また、会場の奥にはたくさんの大きな布で隠された作品もありとても想像力を掻き立てられました。それではご紹介いたします。

メタリックが作るカタチ

川崎さんの作品の素材に使われていたのは金属。

金属の硬く無機質なイメージと、生物の有機的なイメージの重なりはどこか冷たい静かな情感を感じました。

川崎さんがこのような金属を素材とした作品を作りはじめたきっかけは、もともと装飾品を制作していたことにありました。
装飾品の他にも金属のタンスなども制作されていて、そこから発展しこのような作品へと変化したそう。

この中でもより展覧会の中で目を引いた作品はこちらです。

この作品は、布の吸着力を利用し水性絵具の黒を吸い上げています。

そして後ろに飾られていたものは重力に逆らえず下の方に寄っている布です。

この真逆な力の向く方向の矛盾が、またしても鑑賞者に語りかけてきます。

白い布の向こうには

ギャラリーの奥の方を見渡してみると、一面に引かれた白い布が目に飛び込んできました。

よくよく観察してみると、白い布が被せてあるのは脚立だったり、作家の川崎さん自身が制作された金属製のタンスだったりというのが伺いみれました。

なぜこのような白い布が被せてあるのでしょうか。
それはタイトルにもあるように「みえないもの」を見せるための工夫のように思えました。

人間はある程度までは自分の想像力で中のものの形や外見を予測することができます。しかし、それは「完璧にできる」という訳ではなく少しづつ各個人個人で違ってきます。なぜならその想像は経験から生み出されたからです。

このような、人生という多様性の代名詞とも言えるものを「視覚化」するということがテーマになっているようにも思えました。

実際に言ってみて考えてみるのもいいかもしれませんね。

まとめ

白い布で被せ、あえて中の状態をわからないようにすることによってそこから生まれてくるいくつものストーリーがこの展覧会の面白みをさらに引き出します。想像力が豊かな方にはぴったりの展覧会かもしれませんね。

前回このギャラリーで行われた展覧会

黒の世界に映された「日常」。別所洋輝個展「何時かのおくりもの」
吸い込まれるような黒を基調とした作品群。その中には儚ささある種の脆さ、退廃的な雰囲気も感じ取ることができます。それではご紹介していきます。 「日常」をテーマにし…
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展覧会情報

川崎和美 インスタレーション展「 みえないもの 」ー Other Side ー

生と死
作家の生み出す世界は、静かに漂う何かの気配。
長いのか、短いのか、自身を振り返り、
一瞬立ち止まって、大切なその"気 “を
深く受け止めてみるのもいいだろう。

会期:2019/6/6~2019/6/22
open:12:00~18:00
月火水休み

会場:ハートフィールドギャラリー
名古屋市中区栄5-4-33 えいわビル1階