今回取材したのはL galleryで行われた成瀬友彦さんの展覧会「オン・ザ・ロード」
長年にわたって撮り続けてきたアメリカの姿を、写し出しています。
また、アメリカでの作品だけではなく、東日本大震災が起こり原発が問題となった浪江町の作品もあり、今もなお残る震災の爪痕を飾ることなく展示していました。
そんな成瀬さんの展覧会をご紹介致します。
アメリカを知る
成瀬さんは大学時代にアメリカへ旅行して以来、なんども渡米して写真を撮り続けてきました。最初にアメリカへ降り立ったのは西暦1973年、くしくもアメリカ軍がベトナム戦争から全面撤退した年でした。
当時アメリカは日本人にとっては憧れのような存在。
そんな暮らしを眺めてみたい、体感したいという強い気持ちからアメリカへいくことを決意します。
現地では長距離バス、グレイハウンドの21日乗り放題切符を用いて、各地を撮影し、サンフランシスコ、ソルトレイク、シャイアン、デンバー、シカゴ、メンフィス、ニューオリンズ、ロサンゼルスとアメリカを駆け巡りました。成瀬さん自身、若いからこそできた旅だったと振り返ります。
そして月日が流れた1992年、再び、アメリカへ降り立つと、それ以来、機会あるたびにアメリカへ渡りシャッターを切ってきたそうです。
変わっていく世界と、それを定点的にそして確実に瞬間瞬間を写真のなかにおさめる。
おもむくままに写された世界はどんなだろうか。
あなたはどう感じているだろうか。
そんなことを問いかけられてる気がしてしまいます。
消えた街並みを写す
打って変わってこちらは日本国内の写真。
アメリカの写真と比べて少し重たさが加わります。
甚大な被害を生み出した東日本大地震は、7年たった今でも傷跡が深く残り続けています。
埃まみれになってしまった体育館。
汚染された土を隠すように建てられたパネル。
なくなってしまった命と文化と引き換えに、大地には草木が生い茂り悲しいほどの美しさを覚えさせます。
この暗くどんよりとした雲もまた、私たちが向き合っていくべき未来を暗示しているのかもしれません。
まとめ
時の流れをゆっくりと確実に進んでいるのがどの写真からもわかりました。
また、浪江町で撮られた作品たちは震災のこれからと今までを同時に写しているようにも思えました。
時間が経っていくにつれどんな作品が出来上がっていくのか楽しみです。
展覧会情報
成瀬友彦展「オン・ザ・ロード」
会期:3/16〜3/30
場所:L gallery
名古屋市名東区本郷1-43