デザインの潮流から生まれる風刺的pop。「choose your future. choose life.」岡本涼伽

デザインの潮流から生まれる風刺的pop。「choose your future. choose life.」岡本涼伽

絵画

今回取材したのは Gallery Finger Forumさんで行われた
岡本涼伽さんの展覧会「choose your future. choose life.」

popなスタイルから繰り出される鋭い風刺は、人間が持つ独特の仕草や習性を指摘し鑑賞者を惹きつけます。popな部分を押し出しつつも裏打ちされた絵画の意識は、注目すべきポイントなのではないでしょうか。それではご紹介します。

POPから繰り出すダークな空気

岡本さんが今回の展示で展開する作品は、「TRAINSPOTTING」という映画の世界観で表現されています。

この「TRAINSPOTTING」という映画はスコットランドを舞台に、ヘロイン中毒の若者達の日常が斬新な映像感覚で生々しく描かれているもので、作品から感じられるダークなイメージはその映画によるものでしょう。展覧会のタイトルでもある「choose your future. choose life.」はこの映画から引用したもので、岡本さん自身の決意や、未来への希望を表したものだと言えます。

岡本さんの描く作品は、全体的にアカデミックな正統派の油絵というように思えます、しかし作品のモチーフになっているものが1996年公開の映画というポップな側面も持つことによって単純な絵画ではなく、現代の中にあるカルチャーを感じさせます。

 

平成から令和へと時代が変わることへの騒動も、イラストで表現し風刺されており非常にみていて楽しいと思えました。

顔が見えない意図

ここまで見てきた中で何か気づくところがあるかと思います。

実は、岡本さんのほとんど全ての作品において顔が描写されていないんです。
これまで出てきた作品の写真を遡って見てみてください。どこにも顔が完全に書かれているものがないはずです。

この試みはなぜ行われたのか。それは、私たちの特性を表すためです。

日本人は海外の方と比べ、顔を隠す傾向にあるそうです。TwitterやInstagramなどのSNS、YouTubeなど海外と比べその比率は確かに多いように感じます。そのような私たちの特性を絵画の中に持ち込み私たちのアイデンティティや自己の存在性を問いかけているのではないでしょうか。

まとめ

日本人が持つ特性をpopに、風刺的に表す表現は見ていて楽しく、とてもキャッチーに思えました。令和が明けたことの騒がしさなど、現代社会に対する作品もあり「この時代」を意識させ、時間的要素を孕んでまた展開されていくようでした。