精神に触れる。加藤K「精神物質」

精神に触れる。加藤K「精神物質」

2019-04-07
絵画

今回取材したのはギャラリーAPA(名古屋市瑞穂区)で行われた加藤Kさんの「精神物質」
作品を構成する素材は枯れ草や、レーズンなど驚くものが使われていたり、人や事象を抽象化したりなどさまざまななもので表現を行なっていました。そんな加藤Kさんの展覧会「精神物質」をご紹介します。

具体化と抽象化による対比で表現する

ギャラリーに入り最初に出迎えてくっれたのはこの作品です。

タイトルは「floating」つまり浮遊です。
この絵にはいくつか「T」のようなものが描かれています。
これが「浮遊」に関する何かなのだと考えました。

この「T」の周りにはこのような文字であったりレーズンがまいてあったりなど、非常に様々なものが置いてありました。
これらが意味するものはなんなのでしょうか。

私は、人の中の精神を表しているようにも感じました。
人の精神は環境的要因、内的要因、ストレスなどさまざまな要素が組み合わさり動いています。
その心の動きこそが「浮遊」だと思うのです。
ゆらゆらと揺れ動く衝動やそれを押さえ込むために働く理性。
それらの狭間で揺れ動く精神が表現されていると考えました。

この他にも、「battle」とうタイトルの作品で抽象化された銃が描かれていたり、

受精卵のようなものもあり、生命と精神の関わり合いを示しているようでした。

精神物質とは何か

加藤Kさんの考える精神物質とは、
絵画のように作家自身の精神と絵具が混ざり合ってできるもの。

例えば、ダビンチのモナリザとかは、その実物を観た場合、多くの鑑賞者の精神に、何らかの作用を与え、それは、鑑賞者が、絵画という物質を通して、ダビンチの深い精神的波動を受けるからなのだ、と示しています。

なるほど、絵画は時間を場所を越えて自身の精神を伝えることができる一種の装置にもなり得るのかもしれません。
また最後に加藤Kさんはこのように書いていました。

「自分も、作品制作を通して、自分がこの次元の存在でなくなった後でも、鑑賞者にポジティブな作用を及ぼし続ける深い精神の宿った物質を創造できればと思っている。」

まとめ

加藤Kさんの作品は、生と死のようなものに精神的要素を加えて表現されているようにも思えました。
具象と抽象の対比から垣間見える世界は現実社会のよう不安定な存在なのかもしれません。

展覧会情報

加藤K展「精神物質」

会期:3/16〜3/31
場所:ギャラリーAPA
名古屋市瑞穂区汐路町1-14 2階