春の風を受け、出航する。コルブス2019

春の風を受け、出航する。コルブス2019

2019-05-04
版画

今回取材したのは名古屋市昭和区石川橋に新たにオープンした「石川橋ギャラリーマルキーズ」さんで行われた記念すべき初の展覧会「コルブス2019」
4人のアーティストがあつまり開催されたこの「コルブス2019」では、椅子をモチーフにし、特殊な技法で刷られた作品や光を描いた作品などが展示してありました。それでは紹介していきます。

人を感じる椅子

まず最初に紹介するのはこちらの椅子をモチーフとした作品。

この作品の作者の山本剛史さんは「人の手によって造られたもの」に強く興味を惹かれて長年椅子をモチーフに描いています。作品を作り始めた初期は、木版と銅版を使い、椅子を解体し、そして包み込むような作品を作っていたそうです。

しかし、最近はフィルム転写という方法を使って作品を制作しています。この方法を使い作品を制作していくとにじみが出て「人の気配を感じる」「何かを待っているような雰囲気がある」と言われるようになったそうで、「すごく嬉しい変化」だと山本さんもおっしゃっていたそうです。

陽だまりを描く

ギャラリーに入ってすぐ真正面に現れたのは建部弥希さんの作品です。

この作品が表現しているのは木漏れ日。春の風にそよそよと吹かれ木漏れ日が今まさに揺れ動くかのような雰囲気があります。

建部さんが表現しているのは「時」という抽象的概念です。
モチーフには木漏れ日や陽だまり、水面に浮かぶ光の反射などを用いていて、作品をみているとなんだかふんわりと包み込まれていくような気持ちになりました。

線と線がぶつかり、生まれる線

こちらの作品は長谷川栄さんという方が作った作品です。

普段は大きな金属のオブジェ等を作っているのですが、今回はギャラリー内の展示ということで小作品を展示していました。
作品は、メタリックなテープや色紙で構成されていました。

今、長谷川さんが取り組まれているのは「幾何学構成主義(ネオ・ジェオメトリック)」という運動です。

幾何学構成主義(ネオ・ジェオメトリック)とは
抽象を用いた芸術の一つであり、幾何学な線・面・量塊などによって構成される表現のことを指す。
線・面・量塊は線遠近法的なイリュージョンに寄与することはなく、大抵抽象的な画面構成のために用いられる。

現在、パリでもこのような運動が盛んで、実際にW・カンディンスキーなど著名な作家も興味を示しています。

今回は小作品ということで、家庭のテーブルや壁などにフィットするように構成されているようです。

捉えられない光を捕らえる

次にこちらの作品を見てみましょう。

これをみたときにあなたは何を思い浮かべましたか?
この作品が表現しようとしているのは「光」です。確かに、網戸のような隙間から漏れ出た光のように思えます。

この作品の作家さん「山口健児」が光を表現し始めたのは、フォーレの「レクイエム」を合唱で歌った時、指導の先生から「ここは天上にさす光のような響きをください」と言われたのがきっかけだそうです。

光は時に柔らかく、時に鋭く人を照らします。その光の変化の多様性を表現されていたのがとても興味深かったです。

新しい風を起こす

今回取材した石川橋ギャラリーは、この春開店したばかりのギャラリーです。

ギャラリーの中に入ると自然光と照明がうまく組み合わされ作品が映えるようになっていました。
また、壁はコンクリートの打ちっぱなしの部分とホワイトキューブの部分があり、作品のジャンルや雰囲気によって合わせることも可能です。

天井にはたくさんのピクチャーレールとパーテーション用の仕切りがあり展示イメージに合わせ柔軟に対応できる仕様になっています。

今後予定されている展覧会もたくさんあるので近くに立ち寄った際は行ってみてはどうでしょうか。

まとめ

このギャラリー最初の展覧会とあって、会場の中はピカピカでエネルギーに満ち溢れているようでした。また、展示されている作品も会場の雰囲気と相まってより存在感を感じました。これからどんな展覧会が開催されていくのか楽しみです。

展覧会情報

コルブス 2019
長谷川栄(ミクストメディア)/建部弥希(油彩アルキド樹脂絵具)/山口健児(和紙 岩絵具 ピグメント 膠)/山本剛史(ポリエステルフィルム転写)4人のメンバーによるグループ展です。2019年4月 オープンのGALLERY MARQUISE初の展覧会です。 4人のメンバーの頼もしい帆に触れ、追い風を受けて、2019年、平成から新しい年に向かうこの春に、GALLERY MARQUISEの門出を飾って頂くのに相応しい展覧会開催の運びとなりました。アートと人との出会いの場となれますよう、4人のアーティストの素敵な作品と共に、皆様のご来廊、ご高覧、心よりお待ち申し上げております。是非お気軽にお立ち寄り下さい。引用:公式HPより

会期:4/17~5/12
open:12:00~18:00
最終日16:00まで
5/7までGW休み

会場:石川橋ギャラリーマルキーズ
名古屋市昭和区菊園町5-16-1エストメゾン石川橋1F