水彩画の中に宿るストーリーを見る。大蔵和華子イラスト展「いろどり」を取材

水彩画の中に宿るストーリーを見る。大蔵和華子イラスト展「いろどり」を取材

2019-05-08
絵画

今回取材したのは名古屋市千種区のギャラリ想さんで行われた大蔵和華子さんのイラスト展「いろどり」。透明感のある水彩画で描かれた彼女の作品は、儚げな雰囲気とその中にあるストーリーが組み合わさり、鑑賞者を優しく包み込むようでした。それではご紹介していきます。

作品それぞれが持つストーリー

展示された大蔵さんの作品は植物を中心に描かれているものが多く、自然そのもののいろどりを映しているようでした。

モチーフの色により空間を表現していく技術は、観る人をまるで作品の中にいるかのような気持ちにさせます。

大蔵さんの制作する作品の中には人物や動物などがよく登場します。
寝ている人だったり、

木の上に登って休んでいる猫だったり、

と作品のところどころに見つけることができました。
これらの描かれたキャラクターたちをさらに良く観てみると、一つ一つの絵画にさまざまなストーリーが込められていることがわかります。

例えば一つ目の作品だと、公園に散歩をしにきた方が、春の暖かい陽射しにまどろんでベンチで寝てしまっているところです。ここからさらに犬の方へ視線を伸ばしていくと、犬も寝てしまっていることがわかります。本当にいい天気だったんでしょう、思わず微笑んでしまいました。

日常をいろどる

ここまで紹介してきた作品のモチーフはほとんど大蔵さんの日常を切り取ったものです。
こちらの作品などもすごくその雰囲気が伝わってきます。

この作品のモチーフとなったのは、大蔵さんの住む近くの公園にある遊具通称”富士山すべり台”です。作品の中にはたくさんの子供達が遊んでいる様子が描いてあり、また、実物との大きさを変えて表現することによって写真的でないふんわりとした大蔵さん独特の空気感を演出することに成功しています。

まとめ

大蔵さんが作る作品は、どれも柔らかく包まれるような作品ばかりで観ていてすごく心地よく感じました。また、作品の中に散りばめられたそれぞれのストーリーも面白く、さまざまなイメージが浮かび上がってきてとても楽しかったです。

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展覧会情報

大蔵和華子 イラスト展「いろどり」

日本の四季の花々を巡る情景を、瑞々しい感性と、和色(日本の伝統色)を想わす色彩で描いたイラストレーション(水彩画)です。約20点を展示いたします。
「宝石のような色水を、一粒、また一粒と落としていきます。水はじっくり蒸発し、色はゆっくり定着します。気もちがいろどりをもって、キャンバスに広がっていきます」
大蔵和華子記
公式HPより

会期:4/18~4/28
open:12:00~18:00
休館日:火・水曜日

会場:ギャラリ想
名古屋市千種区今池南3-9