今回取材したのはgallery Valeurさんで行われた門田 光雅さんの展覧会「Reform」
門田さんの作る作品は、金継ぎのような絵の具の凹凸が特徴的でした。鑑賞者に対して攻撃的にも感じる彼の作品は一体どんなことを語っているのでしょうか。そんな展覧会「Reform」をご紹介いたします。
キャンバスに生まれる山脈
この展覧会で展示されていた彼の作品で最も大きな特徴であったのはやはり、この「金継ぎのような絵の具」です。
遠くから観ると絵の具がひび割れているようにもみえるのですが、近寄って観てみると全て絵の具による表現だと言うことがわかります。
この山脈のような線は無造作に引かれていたり、格子のような形になっていたりと変化が面白い作品でした。また、これらを作成する際に使われた絵の具は特殊で、このキャンバスに貼ってある絵画をくるくると丸めて持ち運ぶことができるそうなんです。どんな仕掛けを施してあるのかすごく気になり尋ねてみたのですが「企業秘密」だそうで教えていただけませんでした。
また、遠くから観たときと近くで観たとき、それぞれで感じ方が変わってくるところも面白く、
例えばこの作品。
指紋に見える方もいらっしゃったり、僕自身は木目のようにも見えました。
さらに作品をじっくりと観ていくと、黒の絵の具が丸を描くように配置されていることがわかります。この黒色はオレンジ色になることもあり、作品の立体性をより高めているように感じました。
流れるように描かれたこれらの黒色の線は作家の門田さんが何かメッセージを伝えようとしているのかを考えていきます。
線に込める意味
彼の作品が纏う雰囲気は展覧会ごとにすごく変わっています。以前はこのような作品を多く制作していたのですが、今回の展覧会では線を意識した表現になっているように感じました。
その線の中でもより特徴的に見えたのがこの黒い線です。私自身、この流れるような線には制作時の葛藤や迷いを抽象的に表しているようにも感じました。また、制作者のが作った展覧会のコメントからもそのような思いが伺えます。
私は、日常の体験が作品のヒントになる事が多く、その色々な試作に、たくさんの絵の具を使用します。その中で当 然、失敗も発生し、作品が増えるにつれてジレンマも募っていました。そのような中、生活の変化と共に、徐々に制作 に対する意識も変わりはじめ、不必要に思えるものも、人生のサイクルの一部なのではないか、という考えが次第に 芽生えていきました。至らなさや過去と向き合い、それも素材にして新たな加筆を試みたとき、自分自身の壁を越え たような手応えがありました。(コメント抜粋)
実際にこの展覧会のタイトル「Reform」は、色やメディウム(制作に使われた材料)の再生から自身と絵画を見つめなおし、新たな一歩を踏み出すという気持ちを込めてつけられたそうです。
なるほど、日々作品が再生と廃棄、失敗を繰り返して出来上がっていく様子は自然界の摂理に通づるものがあるように思えます。
まとめ
破壊と再生、それぞれを繰り返すことによって作品が変化していき、新しい領域を切り開いていく一人の作家の思いを伺うことができました。これからどんな変化が待っているのか楽しみで仕方ありません。
展覧会情報
門田 光雅「Reform」
会期:3/19~4/20
open:12:00~18:00
日月休み
場所:galleryValeur
名古屋市名東区亀の井1-2-001