橋がかかり存在は繋がる。大泉和文個展 BH 2.x/可動橋

橋がかかり存在は繋がる。大泉和文個展 BH 2.x/可動橋

2019-08-21
インスタレーション

今回取材したのはN-mark(名古屋市中村区)で行われた大泉和文さんの展覧会「BH 2.x/可動橋」

周期的に稼働する可動橋。島から島へと繋がる唯一の手段であるこの橋が繰り返すこの動作は一体何を指し示しているのか。それではご紹介いたします。

周期的に変わっていく島

会場に入ると大きな機械のような作品が目に入ります。

これが今回のメイン作品「可動橋」です。
モーターでワイヤーを巻き取ることによって橋を昇降させています。

橋の上を渡ってみると、とても橋は不安定で壊れて落ちてしまうような気持ちになりました。
この不安を感じさせる仕組みというのもこの作品の注目すべき点です。

また、島と島の橋がかかっている場所のライトは橋が上がるととも消えてしまいます。
このライトはどのような意味をもたらしているのでしょうか。

階段のスペースには、設計図となった図形が展示してあり、もともとは円形だったことが伺い知れます。

繋がり、離れる、文脈から読み取る

この展覧会では鑑賞者に伝えたい全てがこの「可動橋」に集約されているように思えます。

まず、橋が不安定だという点。
これは、安定的な持続など存在しないということを指し示しているように感じました。
自分と他者との関係というのはいつでも破滅の要素を孕んでいます。そのようなことにならないようお互いに尊重しあってこそ持続させていくことができるものです。

この作品は橋を渡る際に気を無意識に気をつけて歩くような仕組みを施すことによってそうのような感情の想起をさせるもののように思えました。

また、この二つの島はもともと一つに繋がっていたものが二つに分裂したような表現が設計図から読み取れます。

もともと一つだったものが二つに別れそれを無理やり橋で繋げて一つの島にしてしまう。
私はこの光景には少し既視感を覚えました。

それは、香港です。
意味香港で起こっているデモに合わせて制作を始めたのでしょうか。それは定かではありませんがそのような、誰かと誰かの繋がり、関わり合い、関係性というのがとても抽象的に、しかし的確に示されているような気がしました。

まとめ

揺れ動く現代社会の政治情勢において私たちは他者とどのような関係を構築し、持続させていくべきなのか。その能力が今試されていきます。どこへ向かいどこを目指すのか。決めるのはあなた自身です。

展覧会情報

大泉和文個展『 BH 2.x/可動橋』

会期:2019.08.02 - 08.25
open:15:00 - 20:00
月〜木曜休み

会場:N-MARK G5
名古屋市中村区長戸井町4-38