今回は名古屋のギャラリー「hase」さんで開催された、出口春菜さんの展覧会「またたき」をレポートします。出口さんの作り出す世界観は幼い頃に見た夢ようなものが多く感じられました。
そんな儚げな世界観を演出している作品たちを紹介していきます。
銅版画による繊細な作品
出口さんの作品は銅版画が中心。
銅版画は銅板を掘って作られます。
こちらをご覧ください。
展覧会には版画の元が置いてありました。
銅版画は先日紹介した木口木版(鶴田さんの)と同じように繊細な表現ができます。
とても細かい部分まで彫ってあり虫眼鏡で覗くこともできました。
出口さんはとても柔らかに甘いところを持ちつつも毒があるような作風の持ち主です。
作品のところどころにも仕掛けがあり、
例えばこのお月様。
ここや
ここ
これにもこっそり登場しています。
版画は一度原版(もとになる版)を作ると、何度も使えるので、このように作った版同士を組み合わせてつくることもできます。
また、同じ版でも色を変えることによってその作品から伝わってくるイメージもガラリと変わることがあります。
どれが同じ版から作られているのかを考えるのも面白いかもしれません。
言葉から生まれる花
出口さんは「幸せを招く世界のしるし」という絵本の挿絵も描かれていてそのページ一枚一枚に世界観がたっぷりと詰め込まれています。
絵本の内容は世界の言葉を紹介するもので、その言葉の意味にあった挿絵が出口さんによって描かれています。
それでは少し絵本を覗いてみましょう。
ここで紹介されている言葉は「扇子を拾う」
意味は、というもので日本の言葉です。
それを出口さんはこのように表現なさいました。
一つ一つの粒が輝きを持っていて、美しいです。
扇子とお花もちょうどよく組み合わさっていて日本らしさを感じられます。
これもお花の版をたくさん組み合わせてつくってあるようです。
まとめ
出口さんの作品はふんわりとした甘さの中にどこか独特の毒々しさがあって人を惹きつけていました。
暗い作品中心ですが、暗い世界だけではなくて希望も表現しているように思います。
出口春菜さんの作り出す、世界観や表情を少しでも感じていただけたのならうれしいです。
展覧会情報
出口春菜 銅版画展 「またたき」
会期:2019/2/16〜2/23
場所:hase
〒450-0002
名古屋市中村区名駅5-10-7
花車ビル中館1階
連絡先:TEL・FAX 052-414-5465