支持体に考えをもつ。Donald Silverstein ドナルド・シルバーステイン展

支持体に考えをもつ。Donald Silverstein ドナルド・シルバーステイン展

2019-05-31
絵画

今回取材したのはLgalleryさん(名古屋市名東区)で行われているDonald Silverstein(ドナルド・シルバーステイン)さんの特別展

様々な支持体からアプローチされた絵画は素材そのものの質感を出しつつも新たなる感覚を植えつけます。また、線と線との絡まり合いは楽譜を読んでいるようにも思わされました。それではご紹介していきます。

支持体で実験する

展示された作品をじっくりみていくと、気づくことがありました。
それは使われている支持体が作品ごとに違っていることです。

使われている素材は、ガーゼのようなものだったり、

研磨紙だったり、

と様々なものが使われていました。

支持体によって絵画の質感は大きく変わっています。
例えばガーゼのようなものだと、布自体の折り目が荒いので細かい格子がたくさんできているようになります。これをドナルドさんは、グラフのように見立てこの格子に沿って作品を作っていました。

素材が与える予期しない規則性はドナルドさんの中にある一つのテーマなのかもしれません。

絵画の中に音楽を描く

ドナルドさんの描く絵画は曲線的なものから直線的なものまで取り扱う雰囲気の幅が広く感じました。この作品の多様性というのも一つの特徴なのかもしれません。

基本的には抽象的なイメージで描いているように見えるのですが、時折見せる写実的な要素がリズムとなり鑑賞者のこころを掴んでいました。

ドナルドさんは絵画を描くことだけではなく音楽も好きだそう。
こちらの作品に引かれた無数の線はいつの間にか五線譜のように見えてきました。

まるで絵画の上で音楽が生まれてくるようなそんな感覚です。

また、絵画の構成も面白く、

こちらの作品などは下のほんの少しの部分しか描かれていません。
あえて描かないことによって色本来がもつ力や美しさを物語っているのでしょうか。

まとめ

支持体が持つ質感は絵画のなかではとても大きい要素になるということが改めて実感することができました。また、絵画の中に描かれているドナルドさん自身の様々なルーツを紐解いているようで面白くも感じました。市民ギャラリー矢田でも6/2まで同時開催しているので伺ってみてはどうでしょうか。

前回このギャラリーで行われた展覧会

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展覧会情報

特別展       1932 – 2004
Donald Silverstein
ドナルド・シルバーステイン

会期:2019/5/18~6/9
open:13:00 – 20:00

会場:Lgallery

同時開催
会期:5/22~6/2
会場:市民ギャラリー矢田 第1展示室
5/27休館