脈打つ植物の音。「BLOOMING – FADING」 STEPHAN SPICHER EXHIBITION

脈打つ植物の音。「BLOOMING – FADING」 STEPHAN SPICHER EXHIBITION

2019-06-02
絵画

今回取材したのは gallery noivoiさん(名古屋市天白区)で行われたSTEPHAN SPICHERさんの展覧会「BLOOMING – FADING」

植物を模したSTEPHAN SPICHER(以下ステファンさん)の絵画は、まるで絵の具が脈を打っているような躍動感がありました。また、新作と数年前に制作された作品から伺える変化も興味深いものがありました。それではご紹介していきます。

植物を金属の上へ落とし込む

会場に入りまず目に入ったのはこの大きなドローイング。

複雑に入り乱れた線が躍動感を持ち、画用紙の上を走り回ります。

このドローイングにはどんな色が使われているでしょうか?

実は、この作品に使われている色は緑と赤の2種類なんです。
この赤と緑の組み合わせというのは補色関係にあり、重なると黒色に色が変化します。そのような色の特徴を駆使し描いているんですね。緑と赤の重なり具合によって若干の青が見えるのもまた興味深いところです。

ステファンさんが制作をしていく中でテーマにしているのが「植物」というキーワード。
その「植物」をテーマにしたのがこれらの作品です。

例えばこちらの作品。

木の幹のようなものがアルミニウム板の上に描いてあります。
これは、アスファルトの下から生えてくるような植物の強靭な生命力を表しているようです。

「日本的」の中にある表現

今回の展覧会で発表された新作はどれもすごく日本的で興味深いものになっていました。

例えばこの作品。

写真で見ると見えづらいのですが、表面がツルツルしていてまるで釉薬を塗ってあるかのようでした。しかし、実際にはラッカー(木工品に塗る速乾性の塗料)で表現されているのでした。

また、構図や配色をみてもすごく日本的に思えます。
黒に金色という配色と、円という形。
全体を見ると、まるで陶器が展示されているようでもあります。陶器を陶芸という日本の伝統的な要素を取り入れつつ絵画に落とし込んだ結果このような表現が生まれ他のかもしれませんね。

まとめ

近年の作品は、釉薬のように使われたラッカーや、配色、絵の構成などがとても日本的になっていて、数年前の作品に比べるととても変化してきているのがみて取れます。大きな画用紙に描かれた躍動的な絵画も興味をそそられました。

展覧会情報

BLOOMING – FADING」 STEPHAN SPICHER EXHIBITION

Ich liebe in der Natur das Blühen , die Vielzahl der zarten Farben der Pflanzen,
das junge Grün des Waldes Ich liebe die jugendliche Begeisterung – in die Welt zu gehen –
mit Vertrauen in die Zukunft zu sehen –
und ich bin daran, das Verwelken zu beobachten , ich kehre in mich zurück und geniesse die Ruhe,
ich sehewie sich die Natur verschliesst in etwas Unsichtbares.
Blühen und Verblühen – ein grossartiger Prozess.

私は自然の中の花が咲き誇る様子、植物達の柔らかな芽吹きと新緑の森を愛す。
この世界に生まれた命の、未来を信じる溌剌とした情熱に魅かれる。
そして私は褪い(うつろい)の道にいる事に気付き、我にかえり静寂を楽しむ。
私は目にみえない何かに近づいていく自然の様を見つめる。
Blooming-Fading – それは素晴らしい過程である。

公式HPより
会期:5/3~5/19

あいちトリエンナーレ パートナーシップ事業

場所: gallery noivoi
名古屋市天白区弥生が岡107-1