時空を結んでゆがめて。寄川 桂展

時空を結んでゆがめて。寄川 桂展

2019-03-06
絵画

今回取材してきたのは、寄川 桂さんの「時空を遊ぶ」(名古屋市瑞穂区の galleryAPA)
コーヒー豆や、麻袋など様々な素材を使って作品が制作してありとても見応えがありました。
そんな寄川さんの展覧会を紹介していきます。

作品に現れる「数字」

寄川さんの作品には数字が登場することが多くあり、いたるところに配置されていました。
スタンプで押してあったり、でこぼことした立体で表現されていたり。

これらをなぜ作品の中に入れたのか、と訪ねてみたところ。
「数字は時間を表していて、それが混ざり合うように配置されていることで空間のゆがみを表現しています。」と教えていただきました。

この作品たち、一見銅版画のようにも見えますが、実は全部アクリル絵の具で塗られているんです。
制作の手順としては、作品にオブジェクト(結んである布など)を配置し、
その後塗装します。


そしてその塗装が乾かないうちに作品をひっかいたり、砂を混ぜた絵の具を上から塗ったりして立体感を作っていきます。最後に仕上げとして、でこぼこさせた部分にやすりがけをして完成です。

制作を続けているとうまくいかないこともあり、
こちらの作品は制作するのになんと2~3年ほどかかったそうです。

どのようにひっかいて線を入れるか、どんな色で構成するのかなどなどたくさんの要素が組み合わさってできる作品は容易にできるものではないようです。

結ばれた布

ここまで作品を見てきて気になっていた方もいるのではないでしょうか。

この結んである部分ですよね。

寄川さんの大きな特徴の一つでもあるこの「結び」
この「結び」はどのようなものなのかと訪ねてみると、
「これも空間のゆがみを表していて、空間と空間がゆがんで結ばれるというイメージで制作しました。」と。

なるほど、平面的な布を結ぶことによって立体化し、それを次元の象徴として表す、ということなのかもしれません。

こちらの作品はキャンバスの上に結んだ布を置くのではなく、キャンバスの中に入れ込んでありました。

まとめ

さまざまな素材を組み合わせて作られた作品は見るたびに印象を変えていきます。
結び目の微妙なニュアンスや素材の配置がとても工夫されていて、「なぜここに配置されたのか。」ということを考えることも楽しみ方の一つですね。

展覧会情報

時空を遊ぶ

会期:2/2〜2/24
出展:寄川 桂

ギャラリー
galleryAPA

Main room・Fine roomの2本立てで、年間30本以上の企画展(GALLERY APA)と、 作家約40名のアートのスーパーマーケット(Marche de APA)として活動。
気軽にどなたでも入って頂ける空間作りを目指しています。