今回取材したのはgalleryN(名古屋市千種区)さんで行われた安倍みゆきさんとSTEPHANE LIEVREさんご夫婦の二人展「METAL&PAPER IV」
鉄板で作られた置物や、顔料を一から作り描いた作品など工芸的な展覧会でした。そんな展覧会「METAL&PAPER IV」をご紹介します。
鉄板を切り取る
最初に紹介するのはこちらの作品。
こちらを作ったのは安倍みゆきさんです。安倍さんは鉄や陶器などを使い、立体作品を作っています。それらの立体作品の中でも一際目を引いたのがこちらの棚に置かれた作品たちでした。
よくよくこれらの形を観察してみると、
アイロンのようなものや、
フルーツのようなもの。
お城のようなものもありました。
なぜこのような少し変わった形をしているんでしょうか。
答えは「空間の切り取り方」でした。
安倍さんはこのような立体を制作する際、物体そのものではなく「物体がまとう空気を切り取る」とおっしゃっていたそうです。
なるほど、物体にはそれぞれの特性があり、それを様々な視点からみることによって1面的な情報だけではなく、存在自体の情報を表現しているのかもしれません。
自然をそのままに活かして作る
続いて紹介するのはSTEPHANE LIEVREさん(以下ステファンさん)。
ステファンさんの最も特徴的な部分は制作過程にあります。
彼の作品は画用紙の上に紙を貼り、その上に絵の具を塗っていきます。ここで使われている紙は再生紙で、街のゴミ箱や、カフェでもらった袋などをちぎって使用しています。
また、このように使われている絵の具は全てご自身がお作りになっているそうです。
以前の彼の作品は今とは少し雰囲気が変わっていて、このように一つますが足りない、ということが決してなく、全て一つ一つキチッとしているような作風でした。
しかし、安倍さんと結婚し子供ができ、パリから自然の多い場所へ引っ越しをしたときからだんだんと作風が柔らかくなっていったそうです。
galleryオーナーの二宮さんは「環境が変わって(引っ越しをして)作品に変化があった。」「二人の作品の空気感がだんだんと歩み寄っているような感覚があります。」とおっしゃっていました。
まとめ
自然的な素材がふんだんに使われていて、STEPHANEさんの作品からは自然の暖かさのようなものを感じました。
また、安倍さんの「空間を切り取る」という表現方法はモチーフとなっているそのものの空気感を伝えることに成功しているように思えました。
このギャラリーで前回行われた展覧会
展覧会情報
METAL&PAPER IV
会期:4/6~4/21
open:13:00~20:00
木曜・水曜休み
場所:gallery N
名古屋市千種区鏡池通3-5-1