じんわりと紙の上をつたう。岩井由美子個展

じんわりと紙の上をつたう。岩井由美子個展

2019-02-09
絵画

 

今回は「水と色の可能性をどこまで表現できるか」というテーマで水彩画に取り組んでいらっしゃる、岩井由美子さんの個展を取材させていただきました。淡い色で描かれる世界、ご自身の目に映った世界をどのように表現なさっているのかをこの展覧会を通してみていきたいと思います。

偶然に生まれる色彩

背後に広がるじんわりと滲んだ水彩の中で鋭く表現される松の形。
にじみと松のシャープさのコントラストが画面の中にメリハリをつくり緊張感を持たせる。

古くから、日本においては水墨画などで”にじみ”の効果が使われてきた。
それをいわゆる西洋の美術的な水彩画と合わせることによって鮮やかな色彩と色のグラデーションを可能にする。

また、岩井氏は作品の中で単ににじみを作り抽象的な柄を描いているわけではない。
にじみの広がりを花弁のイメージと重ね、人の一生と比べると短時間で散ってしまう花の儚さのようなものを表現している。

 

これらの美しいグラデーションは偶然性の上に置いて成り立っている。
絵の具同士が混ざり合い全体としてまとまりがあり、かつ鮮やかなグラデーションでなければいけない。

また、猫というモチーフにおいて考えると、その毛の光沢は光によって—人間の髪と同じように—変わっていく。その瞬間の感覚を切り取っているようにも思える。

それに加え、水彩特有の紙のたわみのようなものがイラストレーション的な感覚を引き離し、絵画として成り立たせている。

まとめ

岩井さんの作品は基本的に淡い色彩で彩られているが、その色彩の中には激しさがあったり、静謐さが存在していた。濃淡で表現される岩井さんの世界に入り込んでしまいました。

作家紹介・経歴

岩井 由美子

•Natural Flower Folk Art教室主宰
• 日本デコラティブペインティング協会講師
• 三越友の会カルチャー講師
• NHK松山文化センター講師
• 財団法人:電源地域振興センター講師

HP:http://www.iwaiyumiko.com

展覧会紹介

会期:1月29日(火)~2月11日(月) 2月4日定休日
AM10:00~PM6:00 (最終日のみPM4:00まで)
場所:名古屋ノリタケの森ギャラリー