再構築の中で新たに組み込まれていく。大森準平   「JOUMON蘇りと創造-復活と再創造」

再構築の中で新たに組み込まれていく。大森準平 「JOUMON蘇りと創造-復活と再創造」

2019-09-12
陶芸

今回取材したのはgalleryNAO MASAKIさんで行われた、
大森準平さんの展覧会「JOUMON蘇りと創造-復活と再創造」

一度壊され、その後また再生させるというプロセスの中にある構築の思考は、偶然に入った一つ一つのカケラに意味をもたらします。それではご紹介いたします。

独特の色味を持った作品

ギャラリーの中央に配置されたこの作品。

紫やパステルカラーのイエローなど面白い組み合わせの色が使われて構成されています。また、一度割れたものを組み直したように作られたこの形は展覧会タイトルにもあるような「復活」という言葉を想起させます。

この独特な配色。
実は今回からの初めての取り組みだそうで、今まではこのような発色の良い赤や緑、青などを使用し作品のインパクトを強めた色調だったそうです。

上記の写真は、大森さんの作っている作品のモチーフになっているもののひとつ、火焔土器。
火焔土器は縄文時代中期を代表する縄文土器の一つで、大森さんは博物館などへ実際に足を運び様々なものを見て作品へと活かしているそうです。

しかし、縄文土器は作られてからとてつもなく長い年月が流れているので全て綺麗に破片が揃っていることは少なく、欠けた部分が必ず存在します。

そんな部分を大森さんは自分自身で想像し制作しているようです。

創造する自由

大森さんの作品はどれも割られて作られています。

割った後、色を塗り、パズルのように組み立てていくのですがこの工程が非常に興味深く感じました。

大森さん自身、精巣がんになっていたこともあり生命が持つ再生の力や、輸血などによって自分ではない誰かの異なる血によって自分自身が再構成されていくという体験がこのような作品に活かされているのかもしれません。

また、展示を見ていく中で面白いと思った作品がこちら。

一見すると塗装がされずにそのまま展示してある作品に見えますが、実はこの作品には仕掛けがあります。

この作品の価格を見てみると「ask」になっていました。
これはどういうことかというと、この展示は買った方と対話して色合いなどを決めるという特殊な形式になっているのです。

そのため、色の塗り方によっては価格も異なっていくので「ask」となっていたのです。

まとめ

今回の展示作品から取り組まれている独特な色味は、今までの純粋に強い色で印象深くするという方法からガラッと変わっておりとても新鮮さを感じました。紫のような配色の難しい色も駆使していくことで単調的ではない、色のリズムが生まれているようでした。

前回このギャラリーで行われた展覧会

吐き出された想いは形になる。ハシグチリンタロウ 堀尾貞治 「ALIVE 生き続ける芸術 」
今回取材したのはgalleryNAOMASAKIさんで行われている展覧会「ハシグチリンタロウ 堀尾貞治 「ALIVE 生き続ける芸術 」 共に面識のないながらも…
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展覧会情報

大森準平
「JOUMON蘇りと創造-復活と再創造」

会期:2019.08.31 - 09.15
open:12:00〜20:00
(火曜日休廊)

場所:gallery NAOMASAKI
名古屋市東区A2-3-4

「新しい姿で生まれる」

大森準平は、長い時の向こうで完成された複雑な形であるはずの火焔土器をもっとも素直なラインの造形物として創造する。小さな身体から溢れだす遠い先人たちへの好奇は、自らの形や想像を超えるための甦りの行為であり、儀式のようでもある。私たちは、日々の小さな行為による進化のループが、やがて大きな創造のカタチとして新たにうねり出すのを目撃し、それはまさに命の繋がりや進化の姿を感じる瞬間なのである。

Gallery NAO MASAKI

正木なお